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6月は給与明細をよく見よう 変わる住民税額  知っ得・お金のトリセツ(85)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB060QU0W2A600C2000000

 

「給料の約半分が税と社会保険料でむしり取られる」という、やや誇張気味ではあるものの感覚的には「激しく同意」の内容が共感の輪を広げていた。個人にできる防衛策は何か? 自分の給与明細をマジマジ見ることが最初の一歩だ。特に今月6月の給与明細には5月までとは大きく違う変更点があるはず。住民税額だ。

6月から新年度入りする住民税

「新年度」というと1月や4月のスタートが普通だが、住民税の新年度は6月に始まる。訪れを告げるのがこの時期、給与明細と同時に会社から配られることが多い住民税の「税額決定通知書」だ。1年間の総額とそれを12分の1した毎月の支払額が印字されている。5月までがおととし2020年の収入に対する住民税で6月からが昨年21年分の住民税だ。

収入や控除(税金計算過程で差し引けるお得枠)の増減で、変わる人は結構変わる。自分も昨年1万円以上変わった。5月と6月の境を意識せずに同じ家計運営をしていると「あれ? なんか足りない」なんてこともあり得る。100円未満の額が切り捨てられスッキリした額の住民税額は今後1年変わらない。一方、もう一つの税金、所得税は端数があるハンパな額で残業代などを反映して毎月上下動する。後払い(住民税)と先払い(所得税)の計算の違いがうかがえる。

ママ友間の禁句 「保育料いくら?」

「住民税連動」で支払い負担が変わる公的サービスも多い。よくママ友の間でのタブーとされるのが保育園の保育料に関する質問だ。無償化の対象でない0~2歳児には保育料がかかる。連動するのは住民税の中の「市町村(特別区)民税所得割」。合計で10%の住民税は都道府県と市区町村が4:6で山分けをするのが基本形だが、保育料の自己負担分は税額通知書に記載されている市区町村に納める所得割の額(世帯合計)で変わる。例えば東京都港区の場合、月額保育料は0~8万8400円と35段階にも分かれる。「保育料いくら?」はイコール「稼ぎはいくら?」の質問になってしまう。