それでも街中でマスクを外す姿は珍しく、子どもの発達への影響を懸念する声も上がる。行政の責任者や専門家に「脱マスク」への道筋を尋ねた。
4月半ばから「マスクはいつ外せるのか」という問題提起を国民から多く寄せられた。感染者数の水準も下がっており、どこまで日常を戻せるかを考えるタイミングが来た。
専門家の意見も踏まえ、政府としてマスク着用の考え方を整理した。屋外か屋内か、距離が確保できるかどうかで場合分けした情報を発信し、子供についても就学前は着用を一律には求めないとした。
コロナは飛沫感染する感染症だ。マスクには感染予防に大きな効果がある。他方、暑いときは蒸れる上、熱中症のリスクもある。表情がわかりにくいのでコミュニケーションが取りにくく、子供の発育への影響を指摘する専門家もいる。
日本人だからなのかもしれないが、多くの人は行動を変えるのに慎重で、デメリットがないならマスクをしたほうが安心する。だが、感染をできるだけ抑止できている状況を保てれば、普通の生活が送れる日が来る。マスクを外す日々は必ず来る。
次に向かうために必要なことは最低限2つある。1つはワクチンだ。重症化のリスクがある人は積極的に接種してもらいたい。打つタイミングが大事なので政府も情報提供をしっかり行う。
もう1つは早期発見だ。安全・安心の確保のために抗原定性検査といった簡易検査を有効に使いたい。お互いが陰性なら安心して対面で会うことができる。PCR検査に比べ簡易検査には精度の限界があるが、世の中を開くツールとしては有効だ。民間での活用事例がもっと増えてほしい。
政府がすべきことは、我々は今どういうステージにあるのか、何を注意していくべきか明確に発信することだ。昨日と今日とで違うことを国民に頼まないといけない局面もある。判断を一人ひとりに委ねるだけでは感染症は抑止できない。
コロナを乗り越えた先にあるのは新しい、バージョンアップした社会でなければならない。せっかくテレワークが広がっていたのに元に戻ってしまってはもったいない。柔軟な働き方がもっと定着してほしい。

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