https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61447860U2A600C2EA1000/
産官学でつくるキャッシュレス推進協議会の利用動向調査によると、2021年の取扱高は前年比7割増の7兆3487億円と、過去最高を更新した。交通系ICカード「Suica」(スイカ)などICチップを利用したプリペイド型の電子マネーを初めて上回り、少額キャッシュレス決済の主役に躍り出た。
QRコード決済はアプリでバーコードを表示するかQRコードを読み取って代金を決済する。スマートフォン決済大手PayPay(ペイペイ)やNTTドコモの「d払い」などQRコード決済を手がける主要16社のデータを集計したところ、決済件数は48億回と前年比8割増えた。ペイペイの取扱高が4兆9000億円と7割増え、市場の伸びをけん引している。
80兆円規模のクレジットカードには及ばないものの、プリペイド型の電子マネー(約6兆円)やデビットカード(約2兆8000億円)を上回り、決済手段のひとつとして定着しつつある。日銀の統計ではスイカや「WAON」(ワオン)などプリペイド型の電子マネーは1%減少した。
ペイペイの中山一郎社長は「特別なことがない限り、22年度の早い段階に利用者数が5000万人に達する」と自信を示す。22年4月時点の利用者数は1年で2割増加し、日本の人口の約4割に当たる4700万人に達した。キャッシュレス化の進展に加え、地方自治体や企業と連携したキャンペーンが奏功した。21年10月から店舗が支払う決済手数料を有料化したが、大きな影響は出ていないという。
QRコードの急成長は目を引くが、キャッシュレス決済の主力がクレジットカードであることには変わりはない。日本クレジット協会によると21年の市場規模(信用供与額)は74兆円から81兆円へ9%増加した。楽天カードの躍進が続き、21年の取扱高は25%増の14兆5000億円と市場シェアが約2割に達した。新型コロナウイルスを機にオンラインショッピングの利用が増え、EC(電子商取引)でのカード利用が進んでいる。
政府は25年までにキャッシュレス比率を16年の2割から4割程度に倍増させる目標を掲げる。主要各国では4~6割程度とみられる。経済産業省の調べでは20年時点で約3割まで上昇しており、前倒しで達成する可能性も出てきた。政府は将来的に世界最高水準の8割を目指している。



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