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老いる米国 働かない1億人 65歳以上の割合急増 コロナ後、復職進まず

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61447750U2A600C2EA5000/

 

19年12月に9550万人だった非労働力人口は20年4月に初めて1億人を突破したあとも高止まりを続けている。22年5月は9930万人。戻りは極めて緩慢だ。これはコロナ禍で退職し、そのまま職探しもしなくなった人が多いことを示している。

カンザスシティー連銀は5月に出したリポートで、その原因追究に挑んだ。移民の減少や人口構成の変化など様々な要因を取り除いたところ、浮かび上がったのが働かなくなった「65歳以上」の存在だった。

浮かび上がるのは「老いる米国」だ。米国の非労働力人口は19年末までの20年間で4割増えている。コロナ禍の前は増加傾向が収まっていたが、それが再び加速した。もともと65歳以上の人口は19年までの10年で3割増えており、フロリダ州やウェストバージニア州では5人に1人が65歳以上だ。

「移民は解決すべき米国の問題ではない。移民こそが米国の問題に対する解決策だ」。調査団体の全米移民フォーラムはこう訴えるが、移民の急速な増加は政治的な問題をはらむ。

米国経済は約40年ぶりのインフレ抑制が課題で、米連邦準備理事会(FRB)の利上げがその後に景気後退を呼び込むことも懸念されている。コロナ禍前に話題になった長期停滞論は話題から消えた。だが中長期的にみた経済の構造変化は水面下で着々と進んでいる。