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パナソニックHD系、高級キッチン市場に参入

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF18DET0Y2A510C2000000

 

機能・デザイン性の訴求で高価格製品の割合を増やし、原材料高に左右されない事業モデルを構築する。

 

注力商品として新ブランド「カレサ」を発売した。「キッチンを住宅設備ではなくインテリア・家具として捉え直し、上質なくらしを提案したい」。PHSの山田昌司社長はこう期待を寄せる。

著名デザイナーが監修

特徴は工業デザイナーの深沢直人氏が監修した「極限まで要素をそぎ落とした」(PHS)シンプルなデザインだ。IHヒーターは段差の少ない一体感のある製品を使用した。シンクも使わない時は蓋で平面にできるほか、食器洗い乾燥機や収納棚は存在感なく収まる仕様にした。

数種類から選べる各面の扉は1枚の原板から切り出して作る。例えば水晶を板状に固めた「クオーツストーン」の場合は、石の柄がつながって一枚板のように見える。キッチン事業を統括する松下芳朗常務執行役員は「横から見ると硯(すずり)のような、今までにない雰囲気になった」と自信を見せる。

「高級インテリア」のブランドイメージを高めるためPHSからの営業・販売はせず、6月から全国約30のアクタスの直営店で問い合わせに応じる。希望小売価格は約430万円から(キッチン部分のみ)とPHSの普及モデルより2~3倍高い。2027年3月期には国内だけで年間10億円の売り上げを見込む。

海外市場開拓のカギに

カレサは当面は国内で販売するが、海外市場を開拓する上でもカギになる。PHSはアジアや欧米といった海外販売の強化などで30年度の売上高を21年度比2割増の5500億円に引き上げる。山田社長は「海外ではキッチンをインテリアとして捉えるのは当たり前だ。カレサを海外展開する意義は大きい」とする。

山田社長は「カレサで消費者の価値観を勉強し、(他製品でも)富裕層を狙える企画を検討していきたい」と話す。「大衆」のイメージを脱するブランド戦略が急がれる。