https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61383650S2A600C2DTA000
不動産開発を加速するJR東や東急などは負債を活用し資金を賄う。キャッシュフロー(現金収支)の改善が遅れる中で輸送需要が下振れすれば、財務が悪化する恐れもある。
JR本州3社、東急、近鉄グループホールディングス(GHD)など売上高上位10社の23年3月期の設備投資計画をまとめた。今期は20年3月期(2兆1596億円)以来の2兆円超えだ。JR東海は「守る一方ではなく、積極的に展開したい」(金子慎社長)として、リニア中央新幹線整備を含めた設備投資額は6830億円と前期比29%増やす。
鉄道各社はコロナ下の過去2年間、輸送力増強や車両更新、バリアフリー投資などを先送りする格好で設備投資を抑制していた。21年3月期は、20年3月期比12%減の1兆9058億円。緊急事態宣言が続いた22年3月期は同22%減の1兆6769億円。これに対して全社で最終黒字を見込む23年3月期は投資の再拡大に動く企業が多い。
ポストコロナの収益基盤の多角化に向けて投資を増やす企業も多い。東急は東京・新宿で建設中の高層タワーなど不動産に前期比約2倍の699億円充て、全体で前期比35%増の1588億円を見込む。JR東は前期比22%増の6340億円。運輸事業が20%増に対し、高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発などで非運輸が27%増と伸びが大きい。
JPモルガン証券の姫野良太シニアアナリストは「業績回復に不透明さが残る状況において、財務健全化を考えると負債だけでなく、今後も資産売却や増資など幅広い選択肢を検討する必要がある」と指摘する。


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