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物流REIT「勝ち組」降板? 需給悪化を懸念 経済再開、ホテル系に資金

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61382160S2A600C2EN8000

 

物件の需給悪化や指標面での割高感が意識され始めた。経済再開を手がかりにホテル系などに資金が集まり、新型コロナウイルス禍の「勝ち組」交代の様相を呈しつつある。

 

そんななか、気がかりなのが物流系の軟調さだ。「物流系から資金を引き揚げている」。ある国内運用会社の担当者はこう明かす。物流施設を投資対象とするREITで構成される「東証REIT物流フォーカス指数」は昨年末比で11%下落した。物件タイプ別の騰落率はオフィス(横ばい)、住宅(3%安)と比べて特に落ち込みが目立つ。時価総額の大きいGLP投資法人、日本プロロジスリート投資法人はともに14%下落している。

 

足元ではその勢いに陰りが見え始めた。「建てすぎ感はある」(アイビー総研の関大介氏)と過剰な供給を警戒する声が出ている。一五不動産情報サービスによると22年4月は東京圏の物流施設の空室率は3%と5四半期連続で上昇した。21年1月には0.2%だったのが、2年9カ月ぶりに3%台まで上昇した。

空室率が上がれば賃料の伸びが止まり、配当金などリターンに影響を与える。物流業界の関係者からは「大型連休明けから荷物が大きく減ってきた」という声が聞かれる。ヤマト運輸の小口貨物取扱実績をみると、21年秋ごろから伸び率が鈍化傾向だった。

ここにきて日本のREIT投資家のテーマは経済再開(リオープン)にシフトしている。昨年末比で20%高のいちごホテルリート投資法人や、同18%のジャパン・ホテル・リート投資法人などの好調さが目立つ。米調査会社STRがまとめた国内ホテルの全国平均稼働率は、4月時点で56%と回復余地は大きく、6月から外国人観光客の受け入れが再開されることも追い風だ。

市場では「米国などと比べ半周遅れたリオープン期待の織り込みが進んできた」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの石田真澄氏)との見方は多い。主要なホテルREITはなおNAV倍率が1倍を下回っており、割安感もある。客室単価を機動的に上げ下げできるため、インフレ耐性が期待できるとの声もある。投資家は「ポスト物流」の銘柄探しに動き始めている。