https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61384480S2A600C2EP0000/
――中国の人口減は統計より深刻とされています。
「公式統計上の数字は正しくない。実際の出生率は公式統計ほど多くなく、死亡率をわずかに上回る程度とみている。地方政府の人口統計も実際より大きく見せようとするインセンティブが働くため実態と乖離(かいり)している。地方の人口が多ければ中央政府のプロジェクトを獲得でき、高速鉄道が自分の町に止まる。1人の国民が異なる省で2つ以上の身分証をもっていても誰も気にしない」
――中国は少子化を食い止められますか。
「人々の考え方を変える必要がある。今の若い世代は一人っ子であることの恩恵や利点を感じている。(1979年に導入した)一人っ子政策が2世代続いた後、人々の考え方やライフスタイル、家族構造はすっかり変わってしまった。最初は一人っ子が強制だったが、40年たち、強制されなくても子供は1人だけにしようと自然に思うようになっている。2人目の子供の学費を無償にするなどして、家計への重い負担をやわらげる必要がある」
――結婚したがらない若者も増えています。
「中国には2億6000万人の成人独身者がいる。ビジネスはあらゆる努力をして彼らの生活を快適にする。独身のままでも十分幸せだと思える環境が整っている。雇用主も独身者を採用したがる。朝9時から夜9時まで週6日働く『996』という過酷な働き方では家族はもてないからだ」
「最近は『寝そべり族』が話題になった。若者は成功を追い求めない。自分一人の稼ぎで足る範囲で人生を楽しもう、なぜ結婚して子供を持たなければならないのか、と考えているようだ」
――人口減を補うため、移民受け入れも選択肢になりますか。
「中国が大量の移民を受け入れるとは考えにくい。移民が共産党統治に忠実である保証がないからだ。中国は漢民族の絶対的な優位性を維持する必要があり、これは共産党支配にとって非常に重要だ。移民受け入れはこの優位性を希薄にしてしまう」

コメントをお書きください