https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61383900S2A600C2DTA000
来春の組成に向け資産運用会社を設立し、10年後をメドに1000億円の運用規模をめざす。清水建設や西松建設も組成準備を進める。開発不動産をREITへ売却して資金を早期に回収し、次の案件に振り向ける。総資産を膨らませずに効率よく不動産開発を進めて収益基盤を拡大する。
大成建設は5月、資産運用会社「大成不動産投資顧問」を設立した。自社が6割、グループの大成有楽不動産などが4割出資した。2023年春に私募REITを組成し、150億円規模の不動産運用を始める。みずほ証券を財務アドバイザーとする。地銀、生損保、年金基金などから出資を受けるほか、自社グループも出資する。金融機関から融資も受ける。
5月時点で保有する3000億~4000億円相当の不動産の一部をREITに組み込み、3~4年後に500億円、10年後に1000億円の運用規模をめざす。また首都圏でオフィスビルや中型マンション、物流倉庫など安定収益を見込みやすい物件を軸に開発してREITに売却する。テナントが入った状態で長期間保有し、4%前後の運用益をめざす。
他社でも私募REITの運用が広がる。清水建設は21年8月に資産運用会社を設立し、23年初頭の運用開始をめざす。自社で開発したオフィスや物流施設をREITに売却し、施設運営は子会社で手がける。5年以内に1000億円をめざし、まず300億円規模で運用を開始する。
西松建設は21年10月、伊藤忠商事から資産運用子会社の株式の8割を取得し、22年4月には東京都内のオフィスビル1件をファンドとして組み込んだ。許認可を待ってREITに移行し、28年3月期末に運用資産1000億円をめざす。
18年に250億円規模で私募REIT運用を始めた鹿島は、23年時点で1000億円の運用規模をめざす。長谷工コーポレーションは22年2月、賃貸マンションを中心にまず200億円で運用を始めた。
不動産証券化協会によると、22年3月時点で国内の私募REITの運用資産総額は前年同月比13%増の4兆7250億円。特定の投資家との相対でやり取りするため、手続きが比較的簡易で済む。一般に公募REITよりも利回りが高く、運用難に悩む投資家の需要を取り込んでいる。


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