https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1611L0W2A510C2000000
美大出身のキャリアを生かし、多彩な連携で「木のおもちゃ」の普及に取り組む。里山保全のボランティア歴も10年を超す。休日はチェーンソーを操るアクティブな林業女子だ。
多田さんたちは「木育デザイン虎の穴」と銘打った研修講座を2019年度に始めた。「3人以上で仲良く遊べる」「小さくて狭い園内でも収納に困らない」。こんな保育所のニーズにまとめて応える木製の遊具や玩具を開発するのが狙い。「豊かな現場感覚を持つデザイナーを養成したい」と、保育所の見学などをカリキュラムに盛り込んだ。
多田さんたちは東京発のオンラインイベントで人脈を増やす。「100年先の林業や森を見据えたアイデアを出し合って、木育の世界を広げたい」と話す。
多田さんの前職は東京の小劇団の管理業務。14年前の心のうちをうまく説明できないが「社会貢献」への思いに駆られて転身したという。その後に起きた東日本大震災。「復興の支援に」と東北の木を、東北の工房で加工した雑貨類を電子商取引(EC)サイトで販売する仕組みを整えた。デザインという「かたち」にもこだわる活動の原点だ。
チェーンソーの講習会で知り合った仲間と活動団体アクション・グリーンを結成し、千葉県袖ケ浦市で里山保全のボランティアにも取り組んできた。何年か前の台風被害で立ち枯れした木々に心を痛める。「地域の森づくりに、どう木育を生かそうか」。多田さんは歩みを止めない。(山本啓一)
魅力伝える林業女子会、25都府県に
低迷する林業をもり立てようと、2010年に産声を上げたのが「林業女子会@京都」だ。京都大農学部の学生が中心となり、林業の魅力を伝えるフリーペーパーを発行した。会費や会則はない。少し外側から林業を応援する「ゆるい集まり」の活動スタイルが共感を集め、静岡や高知など25都府県に広がった。
林業女子会@東京に参加する有吉緑さんはSNS(交流サイト)で、木育を取り入れた日々の暮らしを発信する。コロナ前は地元の親子サークルで樹木観察会や工作教室といったイベントを開いていた。「林業女子会を通じた新たな仲間づくりで木育の視野が広がった」と、千葉県市原市の里山整備の活動にも足を伸ばす。


コメントをお書きください