だがその半面感染リスクだとか生命の危険ということさえなければ、やはりリアルの方が望ましいということも解ってきた。例えば新しい人間関係を構築することや、複数の人間が偶発的に出る発想をぶつけ合ってイノベーションを起こすことだとか、相手の表情を観察しながらぎりぎりの落としどころを探る難しい交渉だとか。
新卒や中途の入社社員の教育もまたその一つだ。座学的なことはオンラインでできても、それは知識の習得の域を出ない。やはり、現場で起こることを目の当りにし、先輩の背中を追いかけることで業務の本質を知り、会社の雰囲気や文化を五感で感じ取る、それが導入研修だと思う。
その観点でいうと、学校教育も先生や他の生徒とのリアル空間での接触の中で、五感で学ぶことが大事なのではないか。遠隔地の学生が普段聴けないような先生の講義を聴けるというオンラインの良さがあるので、デジタルの方が良いことは積極的に取り入れる必要があるが、情操面も含めて全人格的な成長を求めるという意味での教育はリアルを軸に進めるべきだと思う。
我々が展開する商業施設では、コロナ下でも多くのお客様は買いたいものをEC(電子商取引)では買わずリアルの店が開くまで待っていたことが確認されている。リアル店舗での買い物は単にモノを買うということではなく買い物そのものがエンタテイメントだからだ。「リアルとデジタルの最適な組み合わせ」。これからの街づくりの要諦だ。
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