アメリカンフットボールチームやプロ野球選手の専属トレーナーを歴任するアスレチックトレーナー、吉永孝徳さんとは福岡県立東筑高校野球部の「戦友」だった。上下関係が厳格で、練習は過酷。キャッチボールで故意に暴投してグランドの脇に隠した水を飲みに行くなどして生き抜いた。強固な連帯感で結ばれるのは自然なことだった。
当時から体が大きく、いかつい男だったが話してみると面倒見がいい親分肌。やがて私が主将、吉永さんが副将となった。部員も少なく決して強いチームではなかったが、2人でチームメイトを熱く励ました。最後の夏は県予選準決勝まで進み、甲子園まであと一歩だった。
2年前に私が社長に就任すると、お祝いの会を催してくれた。腰痛がつらいと言うと腰に効くストレッチを教えてくれ、私は不動産や資産運用について雑談めいたアドバイスをした。「あの頃のサバイバル力があれば社会の荒波にも耐えられるな」。そう言って笑い合った。
自身の鍛錬も怠らない姿にあの頃と変わらぬ頼もしさを感じる。スーツ姿が大半の卒業生の集まりで、パンと張ったポロシャツから自慢の筋肉をのぞかせる吉永さんが登場するたび会場はどよめく。武骨な九州男児は健在だ。
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