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銅が高騰、5円玉の額面に迫る ウクライナ危機・円安で拍車 「50年後、レアメタルに」

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61011700R20C22A5EA5000/

 

5円玉は銅と亜鉛の合金である「黄銅」でできている。重さ3.75グラムの60~70%が銅なので、銅は平均して2.44グラム含有されている。5円玉の4月時点での流通枚数は約100億枚で、銅の重量に換算すると約2万5000トンになる。

銅の国際価格の指標となるロンドン金属取引所(LME)で3月、銅先物3カ月物が過去最高となる1トン1万800ドル台を付けた。世界的にEVや送配電の電線などの需要が伸びているところに、世界生産の約4%を占めるロシア産の供給懸念が浮上したからだ。

東京大学生産技術研究所の岡部徹所長は「銅が1トン100万円を安定的に超えてくると、鉱山の開発が進んで供給量が増える。1トン200万円を超えることは当面はない」とみる。自動採掘など技術の進展でコストが下がれば、その分だけ相場上昇が抑えられる。

ただし、非鉄金属業界では電動化など脱炭素の影響で「銅は長期的な需要増が期待される」(JX金属の村山誠一社長)という。岡部氏も「銅含有率の高い鉱石の確保が難しくなり、約50年後にはレアメタルになる」と予測しており、中長期的に為替がさらに円安に振れれば高値を更新していく可能性はありそうだ。

財務省は「現在製造している貨幣については、素材価値が円の価値を上回った事例はない」とする。銅価格が急激に高騰していった場合は「その時点における社会経済や貨幣の流通状況などに応じて、適切に対応していきたいと考えている」という。

財務省所管の造幣局は貨幣の製造原価を公表していない。硬貨の意図的な損傷や鋳つぶしは貨幣損傷等取締法違反で罰せられる。