https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF168K50W2A510C2000000
日雇い労働者の街あいりん地区にほど近く、計画発表の段階から話題を呼んだ高級ホテルだが、出足はまずまずのようだ。関西国際空港や難波、奈良などを結ぶ交通の結節点にあたる新今宮。駅前に現れた白亜のホテルがひときわディープな街並みになじむとき、大阪・関西観光の真の玄関口となる。
「新今宮でリゾート?」「ほんまかいな」――。開業前から異例ともいえるほど注目を集めたOMO7大阪 by 星野リゾートは4月22日にオープンした。14階建ての436室で代表的なプランは1室あたり1泊6万1000円から。都市観光ブランド「OMO」の中でも、最高級に位置づける。
ホテルは新型コロナウイルス禍による観光客減少もあって、客室の利用を全体の3割程度に絞って運営している。ゴールデンウイークはほぼ埋まり、それ以外の稼働率は7~8割程度という。宿泊者は7割が近畿圏からで「いろいろなエリアから来てもらえるよう、アピールしていかなければならない」と中村氏は話す。星野佳路代表は「新世界や通天閣に近く、ディープな魅力を感じられる場所。どこに行くにもアクセスが良く、ポテンシャルは高い」と話す。
新今宮は交通の要所として知られ、JR西日本や南海電気鉄道などが接続、関空へも乗り換えなしという利便性のよさが星野リゾートの目にとまった。南海電鉄も新今宮を、難波駅を起点とした沿線開発計画「グレーターなんば」構想の重点エリアの一つに位置づける。2031年に開業を控える「なにわ筋線」の起点駅としての利用も予定しており、同社の主力エリアである難波周辺に続く第2の玄関口として開発を進める。
コロナ禍でも大阪府内のホテル数は増えている。大阪観光局によると、21年のホテル数は646施設とコロナの影響がなかった19年比で4%増だ。新今宮でも21年9月に全227室の「ウィローズホテル大阪新今宮」が開業した。運営する日本ユニスト(大阪市)の担当者は「大阪の中でも観光地としてのポテンシャルが非常に高い。コロナ収束を待つのではなく、今のうちから動き出す方がよいと判断した」と説明する。
日本政策投資銀行と日本交通公社が2月末にまとめたインバウンドの意向調査で、次に観光したい国・地域(5つまで回答)で日本は57%と首位だった。日本の観光地への訪問意向(複数回答)では大阪が31%、京都も29%でいずれも上位5位以内に入るなど人気は高い。玄関口としての新今宮の変貌は、大阪・関西の観光競争力をも左右することになる。
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