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外食、4年ぶり出店増 店舗数コロナ前超え  主要社22年度 持ち帰り・郊外、消費変化に対応

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61014830S2A520C2MM8000/

 

新型コロナウイルス禍で不採算に陥った店舗の閉鎖が一巡し、出店数から閉店数を差し引いた店舗増加数もコロナ禍前の19年度の2倍の水準に達する。コロナ禍の消費構造の変化を捉え、郊外立地や持ち帰りもできる業態などでの出店が増える。

 

日本経済新聞が5月までに外食主要100社に聞き取りなどを実施した。各企業の決算期は異なるが、22年を6カ月以上含む決算期を22年度として集計し、日本マクドナルドやサイゼリヤなど45社の出店計画を集計した。45社の22年度の新規出店数の合計は1220店。新規出店は直近では18年度(1396店)をピークに21年度まで前年割れを続けていた。

22年度の閉店数は486店の計画。コロナ禍中の閉店は20年度が1762店、21年度は875店と高水準だったが、不採算店の閉店が一巡する。

出店から閉店を差し引いた店舗増加数は734店とコロナ前の19年度実績の増加数386店を大きく上回る。計画通りになれば、年度末の店舗数は2万2134店となり、19年度末(2万1616店)も上回る。

22年度に出店数が大きく増える企業は立地や業態を見直している。ドトール・日レスホールディングスは22年度に100店の新規出店を計画する。都心部のビルへの出店を控える一方、テーブル席の多い郊外向け喫茶店などの業態を増やす。

「大阪王将」などを展開するイートアンドホールディングスの住宅街立地の店舗(直営店)は20年3月末に3割だったが22年2月末に6割に急増。約30店の店舗増を見込む22年度も住宅街立地を増やす。

回転ずし「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIESは22年度のスシローの国内出店数50店舗強のうち20店舗以上をテークアウト専門店で出店する。

コロナ禍の打撃が大きかったワタミなどの居酒屋業態は新規出店を増やす動きは乏しい。いちよし経済研究所の鮫島誠一郎首席研究員は「時短協力金が支給され、コロナ禍でも居酒屋以外の飲食店の経営は安定してきた。郊外出店や新たな業態の開発意欲は高まっている」とみる。

日本フードサービス協会(東京・港)によると外食産業の売上高は21年12月から22年3月まで4カ月連続で前年同月を上回り需要回復の兆しがある。ただ、飲食業でも原材料高の影響が大きく、出店増を目指す企業も収益が下ぶれれば計画を見直す可能性はある。