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円の実力、変動相場制下で最低に 51年ぶり低水準、4月下落率は27年ぶり大きさ

比較可能な1994年以降では最低で、日銀の試算によると1971年8月以来およそ51年ぶり低水準となった。73年に変動相場制に移行してからは最も安い。外国為替市場で進んだ円安を背景に、前月比の下落率は約27年ぶりの大きさとなった。

実質実効為替レートは様々な通貨の相対的な価値を貿易量などを基に合成し、物価変動を加味して算出する。低いほど海外製品を買う際の円での負担が大きいことを示す。輸出やインバウンド(訪日外国人)消費には追い風となる一方、個人の負担感は大きく増している。

4月の実質実効レートは3月比で6.7%下落した。下落率は1995年8月以来の大きさだった。

世界的なインフレを背景に各国の中央銀行が金融引き締めに動くなかで、大規模な緩和を続ける日銀との方向の違いが鮮明となり4月の外為市場では円売りが膨らんだ。

対ドルの円相場は2002年以来20年ぶりとなる1ドル=130円前後で推移しているが、その間に実質実効レートは4割低下した。日本の個人には20年前より海外製品の輸入や海外旅行時の負担感が増していることを意味する。