https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB17AU30X10C22A5000000
最初のテーマは「インフレ」だ。ロシアからの輸入制限によって、資源・エネルギー価格が急上昇。長くデフレに苦しんだ日本だが、いよいよインフレ下で強い企業が主役になるかもしれない。
インフレで株価上昇が期待できる業種として、株式投資のプロたちは資源、金融、不動産などを挙げる。株式アナリストの鈴木一之さんは、「業種全体が上昇する局面では、時価総額の小さい銘柄が大きく値上がりしやすい」と補足する。
2つ目のテーマは「円安」。資源価格の上昇で日本の貿易赤字が拡大。さらに、日米の金融政策の差から長期的な円安・ドル高が続く可能性がある。輸出企業をはじめ、円安で輝く企業が有望だ。
見逃せないのはインバウンド関連。入国が解禁されれば大きな恩恵が見込める。証券アナリストの宇野沢茂樹さんは「コロナ禍の苦境期に構造改革を進めた銘柄が有望」と語る。
オンショアリングの狙い目は2つ
3つ目のテーマは「オンショアリング」。ウクライナ危機で、海外に依存するリスクが露呈した。2022年3月、欧米や日本は半導体や工作機械の輸出を停止し、4月にロシア産製品の輸入も禁止した。これを受けて、工場が国内回帰する形のオンショアリングが進むとの見方も出ている。
中国の人件費高騰やコロナ禍のサプライチェーンの混乱も、その動きを後押ししそうだ。恩恵を受ける注目銘柄は、2つある。1つ目は、設備投資の強化で恩恵を受ける企業。2つ目は国内で今後需要が増える分野の関連銘柄だ。
4つ目のテーマは「安全保障」。ウクライナ危機を機に、防衛費を大幅増額する議論が高まっており、関連産業には追い風になる。サイバー攻撃の増加で、サイバーセキュリティーの強化も必須だ。
5つ目のテーマは「食」。2021年から起きていた食品の値上げ。北米や欧州で続いた天候不順に加え、コロナ禍でサプライチェーンが混乱したことが原因だ。日本でも様々な食品の値上げが発表されている。
ロシアやウクライナに依存する1次産品の価格はさらに高騰。「食の安全保障」がささやかれるようになり、有事で食料を確保する重要性が浮き彫りになった。
価格決定力を持つ企業が有力に
とりわけ食料自給率が37%(20年度、農林水産省発表。カロリーベース)と低い日本にとって、食料自給率の向上につながる技術や製品を有する企業の注目度が高まることは想像に難くない。特にインフレ下では、仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁できる価格決定力を持つ企業が有力だ。
また可処分所得の減少で、6つ目のテーマとして「生活防衛」も意識されそうだ。低価格品が充実している小売りが消費者の支持を集めそうだ。
エネルギー価格の上昇はここから本格化するとの指摘もある。さらなる光熱費増が見通せるのならば、省エネ家電への買い替え需要も期待できるだろう。家電の買い替えを促進してきた「家電エコポイント制度」の創設から10年余りがたち、新たな買い替え需要も発生しそうだ。
一方、支出増が避けられないのなら、収入を増やす、つまり共働きに移行する世帯が今以上に増えるとの見方もある。保育関連にも注目だ。

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