メタバース推進協議会の代表理事に就任 養老孟司氏 森・昆虫・人 仮想空間で結ぶ

4月に都内で開いた記者会見では「こういう(晴れがましい)場には合わない人間かな」と述べ、会場の笑いを誘った。

1937年、神奈川県鎌倉市に生まれた。青少年時代は昆虫に熱中。東大医学部に進み、解剖学者となった。心理や社会現象を脳科学の知識を交えて解説する著作は人気を集め、「バカの壁」はベストセラーに。2003年の新語・流行語大賞トップ10に入った。

近年はユーチューバーとしても活動。ラオスで森の保全や昆虫採集に取り組む中で、若い世代にどう現地の実態に関心をもってもらえるかを思案した。答えがメタバースだった。会見では「(今を切り取る)記録性がいい。50年後でも見ることができる」と語った。

メタバースを巡っては、業界団体が乱立し、主導権争いが激しい。だがメタバースには商機だけでなく、人間のライフスタイルや文化を変える可能性がある。「脳」と「身体」が仮想空間でどう変化するのか。科学、哲学、文学を交えた新たな示唆が生まれそうだ。