https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60776560T10C22A5DTG000
コロナ下で鉄道事業はなお低調だが、不動産事業などの割合が大きい私鉄を中心に収益が底入れした。23年3月期はJRの本州3社を含めて全社が最終黒字を予想する。
東急が13日発表した22年3月期の連結決算は最終損益が87億円の黒字(前の期は562億円の赤字)だった。セグメント別にみると、東急電鉄など交通事業は39億円の営業赤字だったが、不動産事業の営業利益が56%増の452億円に伸びた。オフィスビルなどの開発事業で大型物件の販売があったという。
最終損益が黒字転換した14社は、鉄道の旅客数が期待したほど回復しない中で、不動産や小売りなど「非鉄道」事業で利益を積み上げた。
一方、JR各社は苦戦が続いている。JR東日本の最終損益は949億円の赤字(前の期は5779億円の赤字)。運輸収入はコロナ前の19年3月期に比べて4割減の約1兆1千億円だった。JR東海も東海道新幹線を利用する出張や観光が振るわず、運輸収入は同約5割減にとどまる。
鉄道事業の割合が高いJR本州3社の赤字が大きく、18社合計の最終損益はなお898億円の赤字(前の期は1兆4663億円の赤字)だった。
23年3月期はコロナが収束に向かって鉄道利用が回復する前提で、18社全社が最終黒字を見込む。最終黒字の合計は5720億円。
各社は鉄道事業のコスト削減を進める。JR東の3月の運行本数の削減は民営化以来、最大規模で「数十億円の営業費用削減につながる」(同社)。JR東海も一部の設備投資を先送りするなどして660億円のコスト削減を見込む。

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