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荒れ相場、「利回り」で守る REIT・債券組み入れも

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60736780T10C22A5PPK000

 

4月下旬、東京都に住む40代の男性投資家は国内の不動産投資信託(REIT)を購入した。これまでは米国株を中心に運用し、資産は1億円を超える。不透明な相場環境が続くとみて「安定した利回りを期待できる」REITに着目した。

 

不安定な相場の中で注目されやすいのが、着実な利回りが見込める金融商品だ。例えばREITは投資家から集めた資金をオフィスや商業施設などの不動産に投じ、賃料収入などを得る。通常は利益の9割以上を分配金として出資者に分ける。国内では約60銘柄が上場しており、分配金の平均利回りは3.7%。東証プライム市場の上場企業の配当利回り(2.3%)より1%ほど高い。

 

ニッセイ基礎研究所の岩佐浩人・上席研究員は「REITの価格は不動産価格の上昇に連動する。REITを保有すればインフレヘッジ(回避)効果も得られる」と話す。

高い利回りを狙える商品にシフトする際には、価格変動リスクに気を付けたい。例えば、REITは債券に比べ価格が大きく動く。2020年春の株価急落局面では東証REIT指数も一時、半分程度に下がる場面があった。金利が上昇すると他の利回り資産に比べた魅力が下がるとの指摘もある。

投資対象が海外資産であれば、為替変動のリスクも無視できない。定期的に分配金を出すETFや投信では運用益を元本に加えて大きなリターンを出す複利効果が働きにくい。信託報酬など手数料負担で運用効率が悪化する可能性もある。新たに金融商品を購入するときは、期待する利回りがリスクやコストに見合うか慎重に検討したい。