リノベーションを加えたリゾート物件を富裕層に販売し、宿泊施設として運営する委託手数料を得る。新型コロナウイルスでリゾート物件を手放す事業者が増えることも見込まれ、開発から販売・運営までをグループで手がける強みを生かす。
沖縄本島の中央部西海岸に面する恩納村の物件を買収した。地元の不動産会社から2億円強で買い取った物件は海沿いの高台に位置し、バルコニーから広大な海を一望できる。恩納村は那覇空港から車で約50分で、世界有数の高級ホテルが集まる観光地だ。
物件を「アルファテラス恩納ヒルズ」と名付け、メゾネットタイプの6世帯分の部屋を1戸あたり5000万円強で富裕層に販売する。各部屋の床面積は約90平方メートルで、6~8人が宿泊できる。部屋には家具と家電が備え付けられ、バルコニーでは海を展望しながらのバーベキューを楽しめる。屋外ジャグジーが付いている部屋もある。
この物件は旅館業法が適用される宿泊施設だ。販売した物件は、沖縄県で約150物件のリゾート施設などを管理するグループ会社「OneNote」が運営する。この買収したコンドミニアムの稼働率は、コロナ禍以前の2018~19年は通年で50~60%と好調だったが、20~21年は16~19%と落ち込んでいる。
しかし、今後は緩やかに観光需要が増え、40~50%の稼働率を通年で確保できるとみている。1部屋あたりの宿泊単価はコロナ禍においても平均で約3万2000円を確保しており、今後は3万5000円前後にまで回復すると試算する。穴吹グループは宿泊施設の収益の15%を手数料として受け取る。宿泊予約がない期間は物件の所有者は別荘などとして使える。
穴吹興産の新事業企画室の岡田佳昭マネージャーは「今後は沖縄県のほか、関東圏の軽井沢や熱海などで物件開発を進めたい」と話す。コロナ禍において宿泊施設の観光客の利用は停滞している。地方の有力なリゾート施設でも、中長期的には金融機関から受けた融資の返済に悩むといった事例が出てくるとみられ、こうした物件も開発対象としている。物件の買い取り再販事業のほかに、穴吹興産がリゾート施設を開発して販売することも検討する。
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