https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFZ274CX0X20C22A4000000
著名個人投資家、井村俊哉氏は年明けからの下落局面で収益機会を虎視眈々(たんたん)と狙ってきた。
4月に入り半導体関連、不動産関連など今期業績の伸びが期待できるにも関わらず、株価が下落し続けている銘柄に逆張りの買いを入れた。「これから活きてくる銘柄は何か」。5月を見据え、足元では今期業績を織り込めていない資源関連の銘柄発掘に力を入れる。
ベテラン個人投資家のDAIBOUCHOU氏は今後の相場について「予測不能であることを念頭に置いた上で、方向感に賭けるのではなく、企業の財務力などを分析して投資判断する心の余裕が必要」と強調する。
東証が公表した投資部門別売買状況では、4月第3週(18~22日)までの4週間連続で個人と海外投資家が買い越し。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは「日本株は5月が買い場となる可能性がある」と指摘する。
1~4月、8割が日本株買い 市場全体の先行きには慎重
2022年1~4月に投資を増やした資産(新規投資を含む)を調査したところ「日本株買い」が鮮明となった。回答者全体の約8割が「日本の個別株」への投資を増やしたと答え、他の資産を圧倒した。
米国株など先進国の個別株や上場投資信託(ETF)への投資を増やしたとの回答は、それぞれ2割にとどまる。足元ではインフレや資源高が顕著となっているがコモディティ関連(原油、金ETF含む)への投資を増やした個人は1割程度にとどまった。
今後、投資したい資産についても「日本株」との回答が目立つ。個別銘柄では三井住友フィナンシャルグループやINPEXなどがあげられた。割安感が強かったり、高配当利回りが期待できたりする銘柄群だ。金利上昇やインフレ耐性が強い点も共通する。日本株の中でも、特にバリュー(割安)株に着目する投資家が増えているようだ。
一方、相場全体の先行きについて楽観的な投資家は少ないようだ。日経平均が年内に年初来高値(1月5日、2万9332円)を超えられるかどうかを聞く設問では回答者全体の6割強が「上回ることができない」と答えた。日経平均の先行きについては1月天井説が優勢となっているかたちだ。
年内に円安が何円まで進むかを聞いたところ、全体の5割が「130円以上、135円未満」と答え、「135円以上」との回答も3割近くに達した。日本円の下落は今後も続くとの見方が多い。
止まらない円安やインフレを警戒し、円建て資産を減らそうとする投資家もいる。「円や日本市場に期待はしていない」。投資歴20年超のベテラン個人投資家、九条さん(ハンドルネーム)は話す。現在、保有資産に占める日本株の割合は7%程度だが「できるだけ早く売ってしまいたい」と明かす。
九条さんはもともと、ポートフォリオにおいて金や不動産など実物資産の比率を高くしていた。コロナ禍を受け、「金融緩和に伴いインフレが到来する」とみていたからだ。その思いは円安が進んだ今年に入ってさらに強まった。今後は欧米の金融引き締めに伴う景気後退をにらみ、「タイミングを見て米国の長期債などに資金を移そうと考えている」という。
「にしけい」のハンドルネームで活動する西尾奎亮さんも22年3月に日本株買いに動いた。手持ちの現金を東京製鉄、住友化学など素材・原料を扱うバリュー株に一斉投入した。保有を続ける東京製鉄の株価は右肩上がりを続け、足元では1月以来の高値圏にある。
買い意欲は衰えていないものの、矛先はインフレ・金利上昇耐性のあるバリュー株など「守り」の傾向が強い。一般的に5月は相場が軟調とされる。波乱に負けない銘柄を見つける目利き力が「バイ・イン・メイ(株は5月に買え)」のシナリオを実現する条件になりそうだ。
コメントをお書きください