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子どもの受診、2割減 「コロナなら仕事支障」 低所得層で顕著

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60575940Y2A500C2MM8000/

特に所得が低い世帯で減少が目立つ。支援が必要な家庭に的を絞った対策が急務だ。

 

学校の健康診断で専門の医療機関を受診するよう指示されても病院に行かないケースがある。全国保険医団体連合会によると、「要受診」と診断された後に受診しない子どもの割合は内科の関連で18年の50.5%から20年に53.6%に上がった。眼科や耳鼻科、歯科でも上昇している。

 

より深刻なのは仕事を休むと生活費不足に直結する場合だ。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京)の湯浅誠理事長は「低収入の世帯ほど仕事を簡単に休めず未受診率が上がりやすい」と指摘する。

コロナ禍がこうした傾向に拍車をかけた恐れがある。病院で子どもがコロナに感染したり検査で感染が判明したりすると、濃厚接触者となる親は外出できなくなる。太融寺町谷口医院(大阪市)の谷口恭院長は「収入が途絶えると恐れる人は多い。『陽性になるとややこしいからPCR検査は受けない』と言われたことがある」という。

子どもの受診日数を健康保険別にみると所得格差が浮かび上がる。健保には大企業の社員などが入る組合健保や公務員などの共済組合、自営業者や非正規労働者らの市町村国保などがある。未就学児の受診日数を比べると、市町村国保の子どもの受診は21年以後、組合健保などより減少幅が月4~10ポイントほど大きい。

加入者の平均所得は組合健保の222万円、共済組合の245万円に対し市町村国保は88万円。市町村国保には「ひとり親やアルバイトなどで収入が不安定な人もいる」(谷口院長)。親の収入で子どもの健康管理に差が出る事態は防ぐ必要がある。政府にはバラマキ型ではなく本当に必要な世帯を支える対策が求められる。