· 

18歳成人のリアル(2)「リスクはあるが…」

堀は投資について「リスクはあるが、体験してこそ学べることがある」と語る。所属する早大の投資サークル「Forward」は部員約140人。3年で約2倍に増えた。

「日本電産の最高経営責任者(CEO)交代、どう思う?」。一橋大の投資サークル「TOWALY」では4月に開いたオンライン勉強会に18歳の1年生を含む約20人が参加した。

代表の賀来夏恵(20)によると、バブル崩壊を知る親世代には投資に抵抗感を持つ人もおり、親の同意が得られず証券口座を持てない部員もいた。「今後は証券口座を持つ部員が増えるはず。キャンパスで投資の話題で盛り上げる光景が普通になる」と話す。

LINE証券が19歳以下に行った意識調査では18歳から投資を「ぜひ始めたい」「やや始めたい」が合わせて84%に上った。

SBI証券では18、19歳の口座開設申し込みが4月1日だけで約600件。仮想空間「メタバース」を活用した3月のバーチャルアイドルのライブイベントでは、同社の口座を開いた人などにNFT(非代替性トークン)を配布するなど若年層の開拓に力を入れる。執行役員の坂本英文は「将来的に長く投資を続けてほしい」と期待する。

新成人の関心を集める金融取引。だが、うかつに手を出せば大きな損失を被る危険もある。金融広報中央委員会の2019年調査では「金融教育を学校で受けた」割合は米国が21%、日本は7%。日本の金融リテラシーの水準は決して高くない。

その米国では20年6月、ネット証券のアプリでオプション取引をしていた大学生が自殺した。口座残高が「73万ドルの赤字」という表示を見て巨額の損失を負ったと誤解したとみられ、遺族は証券会社を提訴した。

ファイナンシャルプランナーの安藤宏和は「成人年齢の引き下げで金融リテラシーを養う機会が早まる一方、ゲーム感覚で売買に手を出す人も出てくる。実践的な金融教育の充実が欠かせない」と指摘する。