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メタバース、入り口期待 仮想空間の交流手段に

オランダの調査会社ニューズーによると、サブスク中心の「クラウドゲーム」と呼ばれる市場は24年に65億ドル(約8400億円)と21年の4倍強に拡大する見通しだが、ゲーム市場全体に占める割合は3パーセントにすぎない。それでも各社がクラウドゲームを強化するのは、ユーザーの集まりやクラウド技術が、将来的に巨大な仮想空間「メタバース」につながるとの期待があるからだ。

「メタバースの分野での協業を深化させる」。ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長は4月、エピックゲームズに10億ドル追加出資する意義を強調した。同社は利用者数億人の「フォートナイト」に加え、ゲームや3D映像の製作ツール「アンリアルエンジン」も提供しており、同様の事業資産を持つソニーは連携を深める。

米メタ(旧フェイスブック)はVR端末「メタクエスト2(旧オキュラスクエスト2)」を核にフィットネスやビジネス用途などサブスクで利用できるサービスを増やしている。4月にはソニーの映画「ゴーストバスターズ」を題材にしたゲームを配信すると発表し、カプコンやキャラクターバンク(京都市)などと連携した開発も進める。

新型コロナウイルスの感染防止で外出を控える動きが広がる中、ゲームは単に遊ぶためだけではなく、知り合いや不特定多数とコミュニケーションを取る手段として機能し始めている。大和証券の鈴木崇生アナリストは「クラウドゲーム事業が成功するかは未知数だ。ただ、技術や顧客層でメタバースと重なる部分が大きく、ゲーム各社は力を入れざるを得ない」と話す。

鈴木氏は「クラウドゲームやメタバースでは、3次元映像の膨大なデータを素早く効率的に処理できるインフラ環境が必要になる」と指摘する。クラウド市場で世界大手でもある「アマゾン、マイクロソフト、グーグルの動きが普及のカギを握る」とみている。