https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60483630S2A500C2MM0000
昨年夏の経団連の夏季フォーラムで、ノーベル賞学者の吉野彰先生が「グリーンイノベーション」の講演をされた。質疑の中で「イノベーションの数あるシーズ(種)の中でどういうものを選ぶのか」という質問に対し、吉野先生は「何か確たる選考基準があるわけではないが、強いて言えば自然の理に適(かな)うもの」と仰(おっしゃ)られた。私はそれを聞いて妙に腹に落ちた。さらに「カーボンニュートラルそのものが、自然の理に逆らっているものかもしれないが」とも付け加えられた。これにもなるほどだった。
私なりにこれを解釈すると、自分が判断を迷っている事柄について、それを取り巻く生態系の自然の理に適うものを選択するということではないだろうか。化石燃料を使って発電し、その電気で生活すること自体、経済合理性も含めて自然の理に適っているが、地球温暖化を抑止するためにはそれに逆らっていかなければならない、そういう与条件を加えた上での、大きな自然の理に適うということだろう。
例えば新事業に進出するとき、その事業自体は社会のトレンドを捉えていて自然の理に適っているとしても、当社が社会に求められている役割は何か、当社にその事業を行う強みがあるかなど、この事象を取り巻く生態系全体を踏まえて判断するということではないだろうか。判断を迷ったときの良いよりどころを教えていただいた気がする。
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