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50代、学び直しの好機 転職・起業に公的給付生かす

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60410460Y2A420C2PPN000

 

 

「人生100年時代」を見据え、長く働く人が増えている。働き方は様々だが、これまでのキャリアを生かして起業や転職をするのも選択肢。その際に役立つのが技能を証明する資格だ。中高年の起業を支援する銀座セカンドライフ(東京・中央)の片桐実央社長は「職業人として経験を積んだ40~50代は資格取得など学び直しの絶好のタイミングになる」と話す。ただ資格は難易度や勉強時間に応じて色々なタイプがある。まず資格取得に向けて自身のキャリアプランを立てることが欠かせない。

 

一方、資格を取得するのに教育機関などを利用すると費用がかかる。こうした学び直しをサポートする公的給付が「教育訓練給付制度」だ。同制度は社会人の能力開発やキャリア形成を目的とし、雇用保険に加入していれば一定の条件で利用できる。資格学校や専門学校、大学、大学院などの指定講座を修了すると給付を受けられる。制度の仕組みを理解して、家計の負担を抑えたい。

給付は受講する講座に応じて大きく3種類ある。「一般教育訓練給付」はTOEICや簿記といった働く人に役立つ資格取得に幅広く対応する。支給額は受講費用の20%(上限10万円)だ。「特定一般教育訓練給付」は社労士や税理士といった資格取得の講座などが対象で、受講費用の40%(上限20万円)が支給される。

最も支給額が大きいのが「専門実践教育訓練給付」だ。対象はキャリアコンサルタントや専門職大学院など。受講費用の50%(年間上限40万円)が最長4年にわたり支給される。さらに資格取得後1年以内に就職するといった要件を満たせば、費用の70%(同56万円)に支給額が引き上げられる。

これらの給付を受けるには雇用保険に一定期間加入していることなどが必要になる。対象講座は厚生労働省のサイトで検索できる。条件を満たせば何度でも利用できるが、前回の受講から3年以上経過していなければならない。受給資格などは管轄のハローワークで確認してくれる。

もっとも、資格があるだけで転職や起業がスムーズに進むわけではない。藤井氏は「資格ありきではなく、あくまで自身のスキルや人脈を有効活用する観点から学び直しを考えたい」と話している。大型連休中にキャリアを見直すのもよさそうだ。