https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60453480Z20C22A4MM8000/
日銀が金利を低く抑え込む姿勢を明確にしたことで、28日の東京外国為替市場では円相場が20年ぶりに1ドル=131円台をつけた。市場では緩和修正に動くとの観測が絶えず、日銀は難しいかじ取りを迫られる。
指し値オペは毎営業日実施する。10年物国債を0.25%程度の利回りで無制限に買い入れる。記者会見した黒田東彦総裁は、市場でオペの実施の有無から日銀の政策スタンスを推し量る動きがみられたと言及し「臆測を払拭し、不安定性を減らす」と説明した。金融政策に変更の意図はないとし「粘り強く緩和を続ける」と強調した。
産業界には急激な円安に対する警戒感が広がる。日銀が政策変更に動けないのは現状で利上げすれば、コロナ禍から回復しつつある日本経済を強く下押しするリスクがあるとみているためだ。
資源高に加え、住宅ローンなど政策金利に連動する金利上昇に伴う負担が加われば消費者へのダメージは大きい。コロナ禍で始まった実質無利子・無担保融資の実行額は40兆円を超える。債務が膨らむ企業の負担が重くなれば、中小企業倒産が急増する引き金になりかねない。
政府の財政負担も膨らむ。財務省の「後年度影響試算」によると、全ての国債金利が一律1%上昇した場合、名目経済成長率を年3%に置くケースで25年度末時点の国債費(予算ベース、利払いや償還費用など)は32.5兆円となり想定より3.7兆円増える。
米国の金融政策を決める米連邦準備理事会(FRB)は5月3~4日の会合で追加の利上げを決める見通しだ。利上げ幅は通常の倍の0.5%となるとみられており、為替相場を左右する日米の金利差が一段と開きそうだ。投機筋が円売り・ドル買いを加速させる展開も否定できない。

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