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日本株の隠れた主役 資産数億円の投資家は周辺銘柄狙う スゴ腕とプロが有望視 注目ニッチトップ株大研究(上)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2618U0W2A420C2000000

 

ロシアのウクライナ侵攻や円安を背景に、日本株相場はボラティリティー(変動率)の大きい不安定な展開が続いている。そうした中、高いシェアや独自性を持つ製品やサービスを提供している企業の株が注目されている。価格の決定力があり、インフレに伴うコストの上昇分を価格に転嫁して業績の悪化を防ぐことが期待されるからだ。その代表格が、特定の分野で圧倒的なシェアを確保しているニッチトップ企業の株だ。スゴ腕の個人投資家や株式投資のプロが注目している銘柄を3回に分けて紹介する。

 

「事業の対象分野が狭い企業は、個人投資家の目に留まりにくい。そのため、成長性が高いのに割安に放置されている有望株が多い」

 

現在は高配当株などを含む300以上の銘柄に分散投資し、個々の銘柄の急落がポートフォリオ全体に及ぼす影響を抑える形を取っている。配当利回りの高い資源株や金融株を保有しつつ、中小型の成長株を物色する。そうした中で、特定分野に強いニッチトップ株も保有している。銘柄の割安度は、予想PER(株価収益率)が20倍以下、PBR(株価純資産倍率)が1倍程度を目安に判定しているという。

 

老朽化したビルの解体需要に着目

例えば、今年初めに購入したオカダアイヨン。建設機械のアタッチメント部品を製造・販売する会社で、建機の先端に取り付けてコンクリート建造物などを破砕する大割機の国内シェアは4割を超える。新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた北米の需要回復などで、2021年4~12月期は売上高・利益の双方が過去最高となった。

この銘柄に着目したのは、国内のビルの老朽化が中長期的な課題で、解体需要が大きいと考えたからだ。ただし、解体事業そのものを担う建設業ではなく、その周辺のニッチな産業の銘柄に投資しているのがポイントだ。「解体需要の恩恵を受ける銘柄として目立ちづらく、割安な銘柄が多いので、投資妙味がある」とDAIBOUCHOUさんは話す。

他にも、建設現場のくさび緊結式足場を手掛ける信和、屋外用侵入検知センサーを製造・販売するオプテックスグループ、荷物用エレベーターメーカーの守谷輸送機工業などを保有する。いずれも、建物の解体やセキュリティー、物流など伸びている市場で周辺事業を手掛ける企業の株だ。

信和は建設現場で使われるくさび緊結式足場でシェアトップ。スピーディーに組み立てができ、安全性に優れている点が特徴だ。「製品の独自性に強みがあり、資源価格が上昇してもコスト増を価格に転嫁できる力がある」(DAIBOUCHOUさん)

オプテックスグループは、世界シェア40%の屋外用侵入検知センサー、同30%の自動ドア用センサーなど、世界シェアの高い製品を多く持つ。「セキュリティーの需要は今後も長期で拡大するとみる。成長性に比べて、PERは10倍台の前半と割安な水準だ」とDAIBOUCHOUさん。

守谷輸送機工業は、オーダーメードの荷物用エレベーターで最大手。定期的に点検・整備も手掛ける。「製品の保守で定期的な収入を得ている点が魅力だ。物流需要の拡大に伴って、倉庫の階数も増えており、同社の大型エレベーターには強い需要がある」とDAIBOUCHOUさんは語る。