https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60317680V20C22A4DTA000
都内のビル中心に高い稼働率が続いた主力のオフィス賃貸事業がけん引した。21年10月に閉店した東急ハンズ池袋店(東京・豊島)の土地などの売却も利益を押し上げ、ホテル事業の苦戦を補った。
1~3月は電通本社ビルの家賃収入も入った。ヒューリックは21年に特別目的会社(SPC)経由で同物件を取得。電通とは物件取得時に11年間の賃貸借契約を結んでおり、ヒューリックにとって安定収益を生む資産にもなる。
保有物件の売却も利益を押し上げた。東急ハンズ池袋店の土地や建物を家具大手のニトリへ、東京都港区に持つ物件をマンション開発事業者へ売却した。両物件とも自社で再開発する計画だったが、方針を変え購入者を募っていた。
ここ数年、世界的なカネ余りを背景に日本の不動産投資に力を入れる海外ファンドが増えている。円安や低金利見通し、政治的に安定している点などから海外勢の投資意欲は強く、好立地の物件売買では高値の取引が続くとされる。
ホテル事業は苦戦が続いた。「ビューホテル」ブランドなどの稼働率が低迷。「ふふ」など高級旅館の宿泊需要は堅調だが、国内出張や大規模な宴会需要は回復途上にあり、赤字基調が続いている。
22年12月期通期業績は従来予想を据え置くとみられる。営業利益で前期比7%増の1230億円、経常利益で5%増の1150億円を見込む。投資用不動産の売買動向は変動しやすいため、現時点で売上高は非開示だが、増収増益が続きそうだ。
成長に向けては、ヒューリックは高耐震で再生可能エネルギー由来の電力を使った環境配慮型ビルへの切り替えを進めている。巨大地震などの自然災害が増えるなか、入居企業の耐震性への意識は高い。29年までには保有物件を震度7にも耐えうる高耐震ビルに切り替える方針だ。

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