https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60279480T20C22A4EA5000/
新型コロナウイルスの感染が落ち着いて外出を再開した消費者の選択肢は広がり、会員を獲得するコストは2倍に膨らむ。動画配信サービスの激しい競争だけでなく、世界的なインフレなど経営環境は厳しさを増している。
投資家の成長期待を示す予想PER(株価収益率)は決算前の24倍台から17倍台に下がった。米アップル(25倍台)や米マイクロソフト(26倍台)といったテクノロジー企業に近かった期待値が、米フォックス・コーポレーション(10倍台)や米コムキャスト(11倍台)といったメディア企業に近づいた。
収益構造の変調を表すのは減少に転じた会員数だけではない。作品製作などに使った費用に対してどのくらい会員が増えたかを示す「獲得コスト」も上がっている。
消費者の時間と財布は有限だ。米調査会社ライトマン・リサーチ・グループによると、1世帯が契約する動画配信サービスの数は平均で3.1。オフィスの再開などで家で過ごす時間そのものが減れば外で使う娯楽費も増え、世界中で進むインフレ下では節約志向が強まる可能性もある。
巣ごもり消費が急拡大した新型コロナ下では全員勝ち組になれたが、感染収束が近づき、そうはいかなくなった。ネットフリックスの会員減少は動画配信サービスの淘汰が始まる号砲かもしれない。
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