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イオン中途採用400人増、積水ハウス3倍 日経調査

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC144E50U2A410C2000000

 

伸び率は製造業(28.6%増)に比べやや低いものの、前年度からの改善幅は8.5ポイント上昇と製造業(3.1ポイント上昇)よりも大きい。イオンが採用を400人増やすなど、小売りやサービスといった幅広い業種が人手不足の深刻化に備える。

 

非製造業が中途採用を強化する背景には、「コロナ後」を見据えた際に、デジタル関連など専門人材の活用でビジネスモデルを変革し、新たな競争に打ち勝とうとの思いがある。

 

業種別でみると、非製造業は23業種中、水産を除く22業種で採用を増やす。通信(32.8%増)、外食・その他サービス(人材派遣など含む、21%増)、百貨店・スーパー(10.7%増)などだ。製造業が18業種中、化学や医薬品などを除く13業種で増やすのと比べると採用意欲が高い。企業側は「アフターコロナを見込んで獲得競争が激しくなっている」(セコムグループ)と身構える。

 

長引くコロナ禍が小売業やサービス業に影を落とす中でも、長期の成長戦略を支える専門人材は引っ張りだこだ。

 

イオングループは中途採用を約2900人と前年から400人上積みする。次世代型ネットスーパーの構築や来店客データの活用を急いでおり、「デジタル分野などの専門人材や多様な経験・キャリアを持つ人材を獲得して中途採用の比率を高める」

 

積水ハウスグループは採用数を3倍超の477人に増やす。中期経営計画ではブロックチェーン(分散型台帳)やセンサーなどを活用した新規事業を打ち出しており「特殊専門性の高い人材が必要」

 

人事制度の刷新、必要に

新卒と中途が混在する多様性の高い組織には、勤続年数や社内歴に基づく評価システムはなじまない。日立製作所KDDIなど中途採用の拡大で先行する企業は、いずれもあらかじめ職務内容を定めた「ジョブ型雇用」を取り入れている。優秀な人材を獲得するには「人主体」から「仕事主体」へと人事制度全体を刷新する必要がある。

新卒一括採用と一体の運用だった終身雇用や年功型賃金の仕組みは日本の労働市場の流動性を低下させ、企業のイノベーションを停滞させてきたとの指摘もある。経験者採用が中心になりジョブ型雇用が浸透すれば、欧米のように転職市場も発達する。賃金や就業環境の改善を通じて採用力を強化しない企業は生き残れなくなりそうだ。