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ロシア人技術者、国外脱出 米欧制裁受け IT分野で17万人か

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60175710Q2A420C2FF8000

 

米欧の制裁による経済的な苦境から抜け出すのが目的で、プーチン大統領の政治姿勢への反発も背景にある。IT(情報技術)人材だけで4月末までに17万人に及ぶとの試算もあり、同国の頭脳流出はさらに悪化する可能性が高い。

「この3~4月はロシア人顧客で大忙しよ」。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで不動産仲介会社、サンゲートを経営するショフレ・アミニさんは話す。ロシアのIT企業からは従業員60人分のサービス付き高級賃貸マンションの仲介依頼を受けたという。

ロシアの英字メディアであるモスクワ・タイムズは、ロシアを離れるIT人材が「(ウクライナ侵攻後から)4月までに最大17万人に及ぶ」との業界団体の推計を伝えた。

ロシア紙コメルサントによると、3分の1のIT技術者が海外で働くことを模索していると報じた。政府機関の統計によれば、同国のIT分野の人材は100万人程度とされる。

もともとIT分野ではリベラルな考えを持つ技術者が多い。ロシア脱出を支援する団体「OKロシアンズ」の推計によると、侵攻開始後に少なくとも30万人のロシア人が国を離れ、ジョージアやトルコ、アルメニアなどに拠点を移した。逃避の理由として反戦や政治的信条を挙げる人が多数派だ。

ロシア政府は3月、IT技術者などの男性を対象に、兵役義務の一部の延期を発表するなど引き留めに躍起だ。ただ、多くの技術者がロシア国内でキャリアの展望を描けない状況が続けば、頭脳流出は当面続く可能性がある。