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ネトフリ株、1日で35%下落 時価総額7兆円失う

20日の米株式市場で前日比35%安で取引を終え、約540億ドル(約6兆9000億円)分の時価総額を失った。会員数が過去10年で初めて減少に転じ、今後の成長に対する懸念が強まったためだ。業界のリーダーの失速に、他のメディア企業への連想売りも広がった。

ファクトセットによると、ネットフリックスの20日終値時点の時価総額は1004億ドル。新型コロナウイルス下で3000億ドルを上回った時期もあるが、2018年1月の水準に逆戻りした格好だ。前日に発表した1~3月期決算が株価急落の引き金を引いた。

3月末の会員数が2億2164万人となり、3か月前と比べて20万人減った。さらに4~6月期も3月末比で200万人のマイナスを見込む。会員の減少は、利用者の拡大を通じて売上高を伸ばしてきた同社の成長モデルが壁に突き当たったことを意味する。UBS証券は「競争の激化、マクロ経済の逆風、市場の飽和が成長の重荷になる」と指摘した。

ネットフリックスは決算説明会で、売上高の伸びを再び加速するための戦略転換を明らかにした。厳しく取り締まってこなかった不正なアカウント共有にメスを入れるほか、広告をつけて利用料金を抑えるプランの導入を検討する。広告の導入は長らく拒んできた施策だが、リード・ヘイスティングス共同最高経営責任者(CEO)は「消費者が望むものを用意することは理にかなう」と説明した。

ただ、株式市場には「短期での成果は見込めない」との見方が広がる。ヘイスティングス氏の説明する検討期間を考慮すると、2つの施策の効果が表れるのは23~24年ごろとみられる。一方、コロナの影響が薄れたことで家で過ごす時間は減っており、インフレ下で消費者の支出の見直しは進む。