https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC289OW0Y2A320C2000000
新たに設けた拠点を核にコミュニティーを再生し、目指すは持続可能な街づくりだ。
福岡市内から快速電車で約30分。45棟が並ぶ日の里団地の中を進むと、赤や黄、青などカラフルな外壁のひときわ目立つ建物があらわれる。交流や生活利便性向上の拠点「ひのさと48」だ。
ひのさと48は団地の48号棟を改修し、2021年5月にオープンした。建物内には木材加工機械がある「DIY工房」や地産地消のカフェ、シェアキッチン、保育園などがある。
高度成長期に建てられた団地は老朽化や空き家、高齢化などの問題を抱える。日の里団地も1971年に九州最大のニュータウンとして開発されてから50年がたち、同様の課題が出てきた。宗像市によると、日の里地区ではピークの93年に約1万4500人が住んでいたが、2022年2月末時点では1万1718人と約2割減少した。高齢化率も35%に上る。
都市緑化事業を手掛ける東邦レオ(大阪市)や西部ガスなど民間企業と地域住民、自治体が一体となり、再生を目指す「さとづくり48」プロジェクトを20年に立ち上げた。ひのさと48も同プロジェクトの一環だ。
プロジェクトに着手してわずか2年だが、効果も出てきている。9棟の建物を解体した跡地に造る戸建て住宅の売れ行きが好調だ。相場より3割ほど高いが、共用の大きな庭を設けて住民同士が交流しやすくするなどで、子育て世代を中心に64区画中半分が成約済みとなっている。市の担当者は「場所に対する期待感のあらわれだ」とみる。
7月にはひのさと48で民泊を開業する予定だ。団地内でビールの原料となるホップを栽培する計画もある。吉田氏は「プロジェクトを通じて地域で主体的にコミュニティーに関わる人を増やしたい」と意気込む。
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