https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60039630V10C22A4TCS000/
丸井グループが目指してきたのはライフスタイルや体験価値の創造だ。そのために重要なのは何よりも人材だ。人の成長が企業の成長につながる。人材開発をコストでなく投資と位置づけ、これから30年後まで毎年10億円以上を充てる計画だ。18年から人材投資額の公表も始めた。次世代リーダー研修などにも取り組んでいる。計画は毎年更新し、目標や進捗について情報を開示していく。
24年に日本の生産年齢人口の半分は(2000年以降に成人を迎えた)「ミレニアル世代」以降の世代が占める。社内では「将来世代」と呼んでいるが、ウェルビーイング(実感としての豊かさ)や持続可能性などの価値を重視しており、社会課題の解決に対する意欲も高い。将来世代が顧客の中心になれば、「便利なモノを安く売る」という既存の小売りビジネスだけでは立ちゆかなくなる。
近年、食物アレルギーがある人向けの商品販売や、再生可能エネルギー関連の新規事業などに力を入れている。これらの事業には上意下達でいわれたことだけをやるのではなく、自ら新しいアイデアを生み出せる人材が欠かせない。
そういった人材を育成するために取り入れているのが「手挙げ制度」だ。重要なプロジェクトや社内会議などへの参加を年齢や役職にかかわらず公募する。社員の8~9割が活用している。グループ会社間の職種変更制度などとともに、制度の利用状況も積極的に公表している。
将来世代は入社する企業を選ぶ際も、社会課題への向き合い方などを重視している。かつて丸井グループを志望する若者の入り口は小売業への関心だったが、最近ではESG関連事業や人材育成の取り組みであることが増えている。人材投資は採用面における成果も上げている。

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