https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59964910T10C22A4EN8000/
円安が止まらない。13日の円相場は一時約20年ぶりとなる1ドル=126円台の安値をつけた。円安は輸出企業の採算改善を通じて日本株を押し上げるはずだが、最近はこのセオリーが効きづらくなっている。原因の一端は、投資家の行動変化に隠されている。円安による資産価値の目減りを防ごうと、個人投資家の一角が日本株の売り手に回り始めているのだ。
円安による株価の押し上げ効果が薄れている直接の原因は、製造業の海外生産へのシフトだ。円安が進んでも、輸出数量がかつてのようには増えなくなっているのだ。
それでも、円安が株高につながりにくくなっているのは、最近の国内投資家の行動変化が影響している可能性がある。
「円安が進めば物価も上がっていくだろうが、今の保有資産の大半は円建て。円安で資産が実質的に目減りするリスクに備える必要がある」
東京都に住む30代の男性投資家はこう考えて昨年12月から保有する日本株の売却を進めてきた。資金の新たな受け皿は米国株だ。現在は、保有資産の約8割が米国株に置き換わったという。
円安が継続するかどうかとは関係なく、個人による海外投資は今後も加速していくだろう。
「2千兆円の個人金融資産の大半は円建てだ。個人が国際分散投資を進めるのは理にかなう」。みずほ証券の菊地正俊氏はいう。そうなると、日本株の円安効果は今後もっと薄れるはずだ。
そこで注目したいのはドル建て日経平均だ。円建ての日経平均以上に下がっており、ドル建てで運用する海外投資家の目に映る日本株は、円建ての株価以上に割安に映っている可能性がある。
もちろん企業の中身が「安かろう、悪かろう」では海外投資家は見向きもしない。円安の進行で日本人の日本株離れが加速しようとしている今ほど、企業に価値向上が求められるときはない。

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