https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59972310U2A410C2EA2000/
ウクライナ危機が資源高に拍車をかけ、各国は金融引き締めを急いでいる。マネーは資源国や金利の高い国の通貨へ動き、資源を持たず低金利を続ける円は格好の売り対象になっている。
円安が加速している一因が世界と日本との金利差拡大だ。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに世界で原油や穀物など商品価格が高騰。物価が上がりづらく「日本化」といわれていた欧州でさえ物価上昇が目立つ。
こうした物価高に世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締めで対応を急ぐ。米連邦準備理事会(FRB)は3月には政策金利を引き上げ、2年ぶりにゼロ金利政策を解除。次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)がある5月以降に金融引き締めの加速が見込まれる。米国の長期金利は昨年末の1.5%から2.7%台まで上昇した。
欧州でも欧州中央銀行(ECB)が金融緩和の正常化を急ぐとの見方が浮上。ドイツの長期金利は昨年末には日本より低いマイナス0.1%台だったが、足元では0.8%台まで上昇している。オーストラリアも1.6%台から3%まで上昇するなど、金利上昇の流れは世界で共通する。
金利上昇に取り残されているのが日本だ。日銀は世界的にも異例の長期金利をゼロに抑え込む政策を継続している。国内の消費者物価上昇率は携帯料金引き下げの影響がなくなる4月以降にも目標の2%に達するとみられるが、主因は輸入コストの増加で長続きしないと見込んでいる。
日本の長期金利は昨年末の0.07%から0.23%に小幅に上がったにすぎない。日銀は長期金利の変動幅の上限を0.25%程度としており、上限に接近すると無制限に国債を買い入れることで長期金利を抑え込んでいる。その結果、内外の金利差が広がり、外国為替市場における円安圧力につながっている。

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