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「虎の子」成城石井の上場 ローソン、コンビニ改革急ぐ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC12A540S2A410C2000000

 

成城石井は4期連続最終増益を記録し、スーパー業界でも有数の高収益を誇る。「虎の子」ともいえる優良子会社の出資比率を下げる理由は何か。ローソンの決断から、市場の飽和や同質化への危機感を強めるコンビニ業界の苦悩が見えてくる。

 

「お客様の日常生活をローソンで全て請け負いたい。ワクワクするようなマーケティングをこれから入れていく」。ローソンの竹増貞信社長は11日の22年2月期決算の説明会後、記者団の取材にローソンのストアブランドを向上させる必要があると述べた。これまでは単品の商品宣伝が中心だったが、これからは「日常をローソンでと言われ続ける」ためのマーケティングが必要という。

成城石井の時価総額は上場時に2000億円を上回る可能性がある。上場で得た資金の具体的な使い道は明らかにしていないが、競争が激化するコンビニ事業の強化などにあてると見られる。

ローソンは14年に約550億円で成城石井を買収した。成城石井の22年2月期連結決算は売上高に当たる営業総収入が前の期比6%増の1092億円。純利益は同13%増の73億円と、ローソンの子会社で最も稼いでいる。

ただ、コンビニと高級スーパーで顧客層が異なり、PBを共通販売しているセブンとイトーヨーカ堂ほどの効果は見られなかった。ローソンも成城石井のPBを販売しているが、ワインや菓子、レトルト食品が中心で商品数が限られ、成城石井で人気の総菜は取り扱っていない。あるローソンのオーナーは「プチぜいたくを売りにする成城石井と、毎日通うコンビニとは訳が違う」と漏らす。

業界内には「上場することで短期利益を追うようになれば成城石井の魅力が薄れる」との懸念はある。ただ、M&Aによる成長などで成城石井の純利益が増えれば、持ち分比率が半分を下回ってもローソンへの収益には反映される。上場の決断が、ローソンと成城石井の成長につなげられるか。両社の経営手腕が問われる。