https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB031OZ0T00C22A4000000
会社員投資家の羽根英樹さんは、「イベント投資」と呼ばれる投資法のエキスパートの一人。2019年には、イベント投資の解説書『イベントドリブントレード入門』(パンローリング)を出版している。
イベント投資は、特定のイベントに合わせて株価が特有の動きを示す現象に着目し、それを利用して利益を上げる投資法の総称だ。TOB(株式公開買い付け)、公募増資、株主優待を得る権利の確定など、売買に利用するイベントに応じて多様なパターンがある。羽根さんは、新年度の株式相場でどのようなイベント投資を実践しようとしているのだろうか。
東証再編で3つのトレード
「まずは東京証券取引所の市場再編を利用したイベント投資を手掛けようと考えている」と羽根さんは明かす。
市場再編では、かつての東証1部・2部、新興企業向けのマザーズ、ジャスダックが全て廃止された。代わって、グローバル企業を念頭に置いた「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、成長企業向けの「グロース」の3市場が新設された。
「東証1部以外に上場していて、再編に伴ってプライムに移るとみられていた銘柄の大半がスタンダードやグロースにとどまった。その中から、再編の後にプライムへの移行を申請する銘柄が出てくると見込んでいる」(羽根さん)
時価総額の大きい銘柄がプライムに昇格すると、TOPIX(東証株価指数)に組み入れられる可能性が高い。そうなれば、プライム上場銘柄やTOPIXの組み入れ銘柄を購入対象にする機関投資家や投資信託の買いが集まり、株価が大きく上昇する――。
羽根さんはこう推測する。そこでプライムへの移行を申請した時価総額の大きい銘柄を買い、値上がりを待ち構える作戦だ。移行を申請する可能性が高い銘柄として、時価総額の大きい日本マクドナルドホールディングス、フリー、そーせいグループ、フェローテックホールディングスの動向をチェックしている。
羽根さんは新型コロナウイルスの感染拡大の収束も視野に入れている。「収束することがある程度見えた段階で、コロナ禍で赤字に陥り、価格も大きく下がっている航空会社株や観光関連銘柄、ホテル系のREIT(不動産投資信託)などを買う」(羽根さん)。前日の終値から数パーセント下の値段に逆指し値を入れながら、上値を追っていくことを検討している。
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