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アジアの運航機、世界の過半に 独社予測、50年までに

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59853440Y2A400C2TEZ000/

 

慢性的な渋滞に悩み、先進技術の導入に積極的な東南アジアで空飛ぶタクシーの事業計画が相次いでいる。

 

ドイツの新興企業ボロコプターは、自社開発の2人乗りeVTOLで試験飛行を重ねている。24年にまずシンガポール中心地のマリーナベイと観光地セントーサ島を発着地点とし、上空を周回する遊覧飛行を始める。

認可取得に時間を要し、就航予定は当初の23年より遅れるが「技術・商業的に準備は順調」(クリスチャン・バウアー最高商務責任者)。30年までに同国で4~6機をそろえ、空港送迎や、マレーシアやインドネシアと結ぶ路線も立ち上げる。

シンガポールのアセント・フライツ・グローバルは空飛ぶタクシーの予約・運航システムで参入を狙う。ブラジルのエンブラエル系eVTOLメーカーと、同社製機材を1年に最大延べ10万時間使用する契約で合意した。機体数にして100機程度となる見込みだ。

アセントはすでに自社開発のシステムを使ったヘリコプターの相乗りサービスをフィリピンやタイで展開している。これをeVTOL向けに大規模化する。

政府も対応を急ぐ。渋滞を放置すれば企業や観光客の誘致に支障をきたすうえ、エネルギーを浪費して「脱炭素」の取り組みも遅れるためだ。

シンガポール政府は2月、航空産業が集積するセレター地区を「先端航空モビリティ産業ハブ」に指定した。発着場や整備場の建設・運営、研究開発に関わる産業を育成し、東南アジアをリードしたい考えだ。

マレーシアの政府系空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングスも発着設備の実証実験に乗り出した。空の交通規制やパイロットの訓練など、事業環境整備が域内で加速しそうだ。