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マンション管理、相次ぐ更新拒否 値上げ要求に住民困惑

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF193I50Z10C22A1000000

 

人件費が高騰する中、管理費の値上げ交渉で折り合いがつかないケースが目立つ。入居者の多くが高齢となった古い物件も少なくなく、次の契約先が見つからなければ住環境が悪化する恐れもある。自治体などが専門家の指導、助言につなぐ仕組みの構築が求められている。

 

「管理業務契約を打ち切りたい」。2021年秋、築30年を超えた首都圏の大規模マンションの管理組合は管理会社から通告された。

管理人や清掃スタッフなどの人件費高騰を理由に、管理費の値上げを提案されていたが、住民の意見がまとまらないうちに更新を拒まれた。予算内で契約が結べる別の管理会社を見つけたが、住民は同様の事態が起こらないか不安が消えないという。

公益財団法人マンション管理センター(東京)には数年前から「管理費の値上げを要求された」「更新を拒まれた」といった管理組合の相談が全国から寄せられている。専門紙のマンション管理新聞が19年、首都圏の管理会社30社を対象に行った調査では、約7割が「採算が取れない」などの理由で契約を辞退を申し出ることがあると回答した。

管理会社が値上げを求める理由の一つが人手不足だ。定年が段階的に引き上げられ、13年施行の改正高年齢者雇用安定法で希望者全員が65歳まで働ける仕組みが整ったことで、元の職場で働き続ける人が増え、マンション管理人になる人材が減ったという。

同社によると、19年の首都圏の新築マンションの管理費は平均1万9085円。10年間で18%上昇した。約350の管理会社が加盟する一般社団法人マンション管理業協会(東京)の担当者は「値上げが受け入れられないと管理会社は採算がとれない。更新打ち切りは最終手段だ」と強調する。

契約更新を拒否されることが多いとされるのが、築年数が古く入居者が高齢化した物件だ。収入を年金に頼る高齢者にとって管理費の値上げは受け入れがたく、交渉が前に進まない事例が目立つ。

築40年超のマンション、40年に404万戸に

国土交通省によると、マンションに住む人は2020年末時点で1573万人(推計)。築40年超の物件は20年時点で103.3万戸あり、40年に3.9倍の404.6万戸となる見通しだ。22年4月には改正マンション管理適正化法が施行され、管理組合が機能していないなどの問題があるマンションの管理について自治体が助言、指導できるようになった。

名古屋市は条例で、22年度に管理組合に運営状況などの届け出を義務付ける方針だ。市の担当者は「管理組合が機能していない場合はマンション管理士を派遣するなどして助言、指導を進めたい」と話している。