18歳と19歳のみなさん、大人の仲間入りおめでとう。まだ実感がわかないかもしれないが、人生の可能性を広げる節目を迎えたことを心からお祝いする。
スマホを契約し、車のローンを組み、アパートを借りる。すべて親の同意は必要ない。仕事や結婚も自分の意思で決められる。自らの判断でできることが一気に増える。法律が変わり、「成人」として扱われる年齢が2歳下がったためだ。ただ飲酒や喫煙は法律で禁じられている。
精神的に自立し、社会や経済を支える一員として活躍してもらいたい。これが成人年齢の引き下げに込められた願いだ。新たに200万人以上が大人の社会に加わるのは心強く、歓迎したい。
海外では18歳からを成人とする国が多い。日本でも6年前、選挙権が18歳以上になった。今後は刑事裁判で人を裁く裁判員にも選ばれる。政治や司法に直接かかわることは、自分が住む国や地域の課題を真剣に考えることでもある。
新型コロナウイルスにより、大人への助走期間となる高校生活が不本意のまま終わったという不満があるかもしれない。しかし困難の中で培われた忍耐力やお互いを思いやる心は必ず糧になるはずだ。ためらうことなく、自信を持って前に進んでほしい。
一方で大人になれば責任やリスクも増える。軽い気持ちで高額な商品を買ったりお金を借りたりしても、後で取り消すことは難しい。いまも消費者トラブルの被害者は20代の若者が目立つ。契約の仕組みや労働者の権利など、学校であまり教えられなかった知識も身につけたい。
万が一犯罪を起こせば、20歳以上と同じように厳しく罰せられる可能性がある。実名が公表されるかもしれない。自由を得るということは、自分を守ってくれる「壁」がなくなるのだということも胸に刻んでおくべきだ。
成人とはいっても大学生や社会人としてスタートしたばかりである。まわりで見ていると危なっかしいところもあるだろう。対等な目線で向き合いつつ、困った時にはそっと手を差し伸べる。先輩の大人にはそんな振る舞いが求められる。
よりよい未来を目指して世界を変革していくのは若い力によるところが大きい。彼らの自立を促し、支える環境を社会全体で築いていきたい。
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