最強の「チームなおみ」(4) 大坂の孤独癒やす家族の力 重圧乗り越え 再出発期す

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「姉妹という以外、彼女たちとの共通点は分からない」。大坂なおみ(24)の姉・まり(25)は言うものの、ウィリアムズ姉妹のような唯一無二の絆は認める。「コートに一人で立つテニスは孤独。自分の味方になってくれる人がいると知っているだけですごく助かる。妹とは互いに助け合ってきた」。大坂も「まりがいなかったら、今の私はない」と言い切る。

大坂姉妹の父・フランソワは1999年、ウィリアムズ姉妹の全仏オープンのダブルス優勝に運命を感じた。テニス経験のないフランソワは公営コートでひたすら姉妹を鍛えた。有名なアカデミーにも入れず、エージェントやスポンサーの目にとまりやすく、自分のレベルも把握できるジュニア大会にもほぼ出なかった。ちやほやされて道を誤る選手もいるからだ。すべて、リチャードの教えだ。

「私たちはうまくやれたけど……」と、セリーナですら積極的にすすめない、いばらの道。ウィリアムズ姉妹の母のように、大坂の母も複数の仕事を掛け持ちした。米国ではなかなか支援を得られず、日本のヨネックスの社長に直接、手紙を書いて支援してもらったり、日本テニス協会のコーチに直談判し、サポートをとりつけたりもした。

基本、ホームスクールでテニス漬けの日々。まりは「両親、妹、私の4人しか(仲間が)いないから、必然的に絆は強くなる。テニスのスキルを磨くという点ではよかったけど、社会的には不器用な人間だったかもしれない。ある状況にどう入っていけばいいのか? こういうことは(ツアーを回りながら)学ばなければいけなかった」と振り返る。

自分の選択を貫く自立心が育まれた一方、「自分の内で解決しようとしがち。友達が多くなかったから、まず人に打ち明けようと思わない」と大坂はこぼす。2016年にトップ100を切るようになると、専任コーチやトレーナーをつけ始めたものの、「初めて会ったときはあいさつしてもニコッと笑顔にもならないくらい。表情もそんなに出さなかった」。18年からトレーナーを務める茂木奈津子は振り返る。