https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMC152WP0V10C22A3000000
緩和バブル崩壊への備えとしても有効な金投資
「コロナ禍がもたらした供給制約を背景とするインフレは年内にはピークアウトする。恐れるべきは、その後に控えるカネ余りによるインフレ」。こう警告するのは豊島&アソシエイツ代表の豊島逸夫さんだ。
コロナ対策で米中央銀行のバランスシートは約9兆ドルに膨らみ、日銀も巨額マネーを市場にばらまいている。量的緩の縮小(テーパリング)で回収できるマネーはその一部に過ぎない。市場に残ったマネーはバブル的な消費に向かいインフレを引き起こす……というのが豊島さんの見立てだ。
元アブダビ投資庁の日本株式運用部長で2015年に金投資を勧める著作を出版している林則行さんは、緩和バブル崩壊に備える意味で資産を金で持てと力説する。
林さんによれば、空前の量的緩和でマネーの価値は希薄化しており、米国株も米国の不動産も法外な価格に上昇しているという。「私見だが米国株は大幅に下落してもおかしくない。近い将来、マネーが希薄化し、株が大幅下落するなら、資産は金で持つのが妥当ではないか。実際、自分は個人資産の約9割を金にしている」(林さん)
史上最高値水準だが長期的には右肩上がり
とはいえ金価格は足元で史上最高値水準。また、金利が上がれば利子を生まない金には逆風という見方もあるし、他にも金価格の下押し要因は考えられる。ただ、長期でインフレから資産を守るのが目的なら、足元の価格を気にすることはなさそう。
林さんによると金価格は歴史的にもマネーの供給量と似た動きをしており、空前の規模で緩和マネーが供給されていることを考えれば、金価格の高騰は不思議ではない。
金への投資手段は地金や金貨などの現物、金ETF、純金積み立てなどがある。それぞれ一長一短あるが、豊島さんも林さんも投資手段はどれでもよいという。「インフレからの資産防衛が目的なら、金地金を購入して手元に持つのが一番だが、保管や換金を考えると手軽とは言えない。手軽なのは金ETF。現物の金と交換できる『純金上場信託(現物国内保管型)』がお薦め」(豊島さん)だ。
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