住宅投資 双日と年400億円 ゴールドマン、賃貸改装し売却

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年間の投資額は400億~500億円を見込む。外銀の資金力と商社の不動産開発力により中古住宅を活性化し、国内外の投資マネーを呼び込む。

ゴールドマンが75%、双日が25%出資して夏ごろまでに不動産開発の新会社を立ち上げ、双日傘下の双日新都市開発(東京・港)の社員などを移管する。今後はゴールドマンが運用する投資ファンドと双日が資金を出し合って主要都市の物件を買い集め、新会社が改装や運営を担う。改装後の物件が1000億円などまとまった規模になれば、金融機関やファンドなどにまとめて売却して投資資金を回収する。

日本の賃貸マンションは東京都心で平均4%と比較的高い利回りが見込める。不動産サービス大手CBREが2021年末に実施した投資家アンケートでは、アジア太平洋地域で魅力的な投資先として東京は3年連続で1位、大阪も10位に入るなど、海外投資家の関心が高い。もっとも、賃貸マンションの1棟あたりの金額が数億~数十億円と機関投資家が買うには小さく、古い物件も多いため、現状のままでは投資しにくいのが実態だ。

ゴールドマンと双日は互いの資金やノウハウを持ち寄り、国内の賃貸マンションを投資家が買いやすい形にして販売する。古くなった物件を建て替えるのでなく、改装して活用すれば、環境への負担も軽減できる。

ゴールドマンは世界の不動産に投資する新ファンドを設立中だ。日本を主要投資先の一つに位置づけており、今回の住宅投資では主にこのファンドから資金を出すとみられる。不動産サービス大手JLLによると、21年の日本の不動産取引額は約4兆5000億円で、うち海外投資家による購入額が2割強を占める。世界的なファンドが投資を拡大し、日本の不動産をめぐる取得競争が過熱する可能性がある。

双日の前身である日商岩井とニチメンはいずれもマンションを中心とする不動産開発大手だったが、バブル崩壊やリーマン・ショックを経て不動産事業は縮小傾向にあった。ゴールドマンと組むことで不動産事業をテコ入れする狙いがある。