https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC031E80T00C22A3000000
ワークマンは銀座の中央通りに面する商業施設「イグジットメルサ」内に「#ワークマン女子」を出店する。約300平方メートルの店舗内でアウトドア衣料を扱い、女性服2割、男性服2割、男女兼用6割の品ぞろえを予定する。中心価格帯は郊外店と同じ2500円前後だが、店頭の置物や派手な装飾を減らし白を基調に落ち着いた内装にする。
土屋哲雄専務は「シンプルさなら『無印良品』というように、機能性ならばワークマンといわれるようになりたい」と話す。従来は郊外店が中心だった。銀座は40~50代の感度の高い女性にも商品を知ってもらう重要な拠点と位置づける。同社の出店基準では売り上げに占める家賃の比率は3%としているが、銀座の店では4%程度に緩和した。「ブランド力を高める上で銀座は採算が悪くても出す」(土屋専務)という。
ポール・スミスも旗艦店 コロナ後にらみ新店相次ぐ
実は銀座では最近、高級ブランドも新店を出している。英国の「ポール・スミス」は2021年12月にメンズの旗艦店を開業。3フロア構成でスーツのオーダーメードのサービスも展開する。このほかイタリアの「グッチ」は4月に銀座での2店目の旗艦店を有名ブランドが軒の並べる並木通りに出し、10月には最上階にレストランをオープンした。不動産サービス大手のCBREによると21年の高級ブランドの出店数は4店と5年前の7店から減少しているが、退店数の3店を上回った。
CBREによると銀座地区の空室率は足元で4.3%に低下している。
銀座の格式、リアル空間の価値高める
三幸エステートの今関豊和チーフアナリストは「コロナの打撃が小さかった企業が出店や改装に積極的」と話す。格式高い銀座への出店は多くの小売業者のステータスだった。EC全盛の現在でも銀座の輝きは失われていないようだ。
セイコーホールディングス傘下の宝飾店の和光本館は今夏、時計の製造工程が見学できる工房を新たに設ける。
銀座のような商業地の引力と各店舗の個性が共鳴し合うことで、ネットに押されぎみのリアル空間がコロナ後に再び魅力あるものとして浮かび上がる。

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