https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC288FL0Y2A220C2000000
新型コロナウイルス禍で航空利用が落ち込むなか、非航空事業の柱であるマイル事業の一環で消費者との接点を増やす。開発チームには、逆境に直面する国際線関連の担当者や客室乗務員(CA)たちが結集した。
「航空一本足打法から脱却する」。ANAHDの片野坂真哉社長は2020年10月の記者会見で、19年度に約2000億円だった非航空収入を25年度までに2倍の4000億円に伸ばす方針を示した。切り札の一つと位置づけるのが、約3700万人の顧客を持つマイル事業だ。
航空以外の移動にも接点づくり
マイルは主に航空券や旅行商品の購入でたまるが、新サービス「ANA Pocket(ポケット)」は手軽な日常の移動でポイントがもらえる。スマートフォンの位置データから人工知能(AI)が移動手段を自動で割り出し、専用アプリで距離に応じたポイントを付与する。健康や環境に配慮した移動ほどポイントが高く、例えば1キロメートルの移動は徒歩だと50ポイント、電車なら8ポイント、車は6ポイントとなる。
単なるポイントアプリではなく、歩く距離を伸ばしたり、プチ旅行に出かけたりと行動変容を促すサービスを目指し、同9月に社内公募でアプリを仕上げるためのチームを立ち上げた。
アクティブユーザー4割に
アプリの使いやすさと楽しさの追求は道半ばだが、22年2月末時点でダウンロード数は24万件に達した。毎日アプリを開くアクティブユーザーの割合も約4割と、当初の想定を上回る高さだ。藤波さんは「利用者の方から多くのヒントをもらう、役立てている」と手応えを感じている。
ANAHDが目指すのは「マイルで生活できる世界」の実現だ。移動だけでなく、不動産や金融サービスといった日常生活の様々な場面でマイルをためて、使える仕組みを目指す。早ければ22年度中に、こうしたサービスの起点となる「スーパーアプリ」の提供も始める考えだ。非日常の移動を提供する航空事業者から、日常生活を豊かにするサービス提供者へ挑戦は始まったばかりだ。
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