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[FT・Lex]業績好調の巨大テック企業、不動産取得に走る

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB250LT0V20C22A3000000

 

高成長で支出意欲が刺激され、オフィススペースや倉庫、データセンター、大通りに面した店舗への投資が活況を呈している。

 

アマゾンはオフィスへ回帰する決断を下し、シアトルの本社から郊外のベルビューに進出して約1万4000平方メートルの敷地を確保した。だが、アマゾンの土地利用はこれだけではない。直近の年次報告書には全世界で約325万平方メートルの土地を所有していると記し、約5300万平方メートルをリーススペースとして記載している。保有する土地と建物を810億ドル(約9兆9000億円)と評価しており、2018年末の320億ドルから増えている。その大半は、アマゾンのクラウド事業を支え、電子商取引(EC)の配送時間を短縮するデータセンターや倉庫だ。

 

マイクロソフトは本社を拡張

アマゾンは米国で最も土地を追い求めている巨大テック企業のひとつだ。だが、世界の不動産をかき集めているのはアマゾンだけではない。マイクロソフトの事業拠点の拡大には、ワシントン州レドモンドにある本社の拡張も含まれる。同社は21年度に世界中のオフィスやデータセンター用に所有およびリースしている土地の合計を約620万平方メートルと報告しており、18年の約460万平方メートルから増えている。メタもカリフォルニア州メンロパークのキャンパスを拡張する一方、世界各地でデータセンターを拡大している。21年に土地と建物の価値を240億ドルとしていたが、18年末には80億ドルだった。

アップルは18年以降、所有する土地の面積を報告していない。しかし、その土地と建物の価値は18年の160億ドルから21年度には200億ドルに膨らんだ。増加の大半はデータセンターによるものとみられる。

アルファベットは今年、ロンドンのオフィススペースを10億ドルで取得すると発表するなど、都心部への進出を加速している。面積の内訳は明らかにしていないが、土地と建物の価値は21年末で590億ドル近くと報告しており、18年の300億ドルからほぼ倍増している。

新型コロナウイルス禍でも利益が出たことから、土地取得の拡大は終わりそうにない。現金が積み上がり、純利益が2ケタで成長している巨大テック企業は、その規模を生かして不動産の活用を続けることができる。