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ロシアから反戦ツイート 「プーチンは侵略者」 「核攻撃怖い」 弾圧下、投稿11人に取材

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59261420Q2A320C2MM8000/

 

日本経済新聞は、ロシア国内からハッシュタグ

「#StandWithUkraine(ウクライナと共に)」をつけてツイートする45人と連絡をとり、侵攻に対する考えや国内の状況について11人から回答を得た。投稿者は反戦を訴え、核戦争への恐怖や物価高騰で生活が一変したことを明かした。

 

回答があったのは大学生や医療、デザインの仕事をするロシア在住の人で、年齢は18歳から52歳まで。ウクライナ侵攻後の情報収集について反戦ツイートの投稿者のひとりは「海外メディアから集めている。ロシアの国営メディアや国防省の報告書は信用できない」と言い切る。「(ロシア発の通信アプリの)テレグラムをロシア語とウクライナ語でチェックしている」「(通信規制を回避するため)VPN(仮想私設網)経由でイタリア、ウクライナ、カナダの友人らとSNS(交流サイト)で連絡を取り合っている」という人もいた。

侵攻後のロシア国内は「(国への抗議を示す)緑のリボンが町にあふれている」など、反戦意識が広がり始めた様子だ。「物価が高騰し店の値札が1日に何度も変わる」「銀行に行列ができている」など、欧米からの経済制裁や物資不足が暮らしを直撃している。「経済制裁でロシア人が今後数カ月でどれほど貧しくなるのか、想像できない」という。

ウクライナ侵攻について回答者は強く反発している。「(大統領の)プーチンは侵略者」「プーチンの利益と野心のために死んでいくウクライナとロシアの犠牲者に対し彼は言い訳できない」。「私のように核攻撃を怖がる人が増えている」と打ち明ける人もいた。

ただ、21歳の大学生は「私の友人は戦争に反対する人が多いが、両親は経済制裁だけを気にし、祖父母は政府を支持している」と答えた。政府系の全ロシア世論調査センターがウクライナ侵攻後に実施した調査では「プーチン氏を信任」と答えた人の割合は79.6%と2月中旬(67.2%)から急上昇した。高い支持率は世論調査の操作や政権のプロパガンダが影響している可能性があるが、独立系調査機関の2月初めの調査では、55歳以上の支持が73%にのぼった。

現在の高齢者はソ連崩壊後の経済の混乱を経験した世代。プーチン氏は2000年代に年平均7%の経済成長を果たし、安定をもたらしたと強調してきた。その後の経済は停滞したものの「失職を恐れて沈黙する人が多い」。11年に広がった中東の民主化運動「アラブの春」はSNSを通じて大きなうねりとなったが、今のロシア政府は厳しい情報統制を敷く。こうした規制を回避しようとロシアでは匿名性を高めるソフトウエアの利用が急増している。